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2016年5月29日 (日)

TBSドラマ・日曜劇場の「99.9 -刑事専門弁護士-」の視聴率の激落のわけ

  
 TBSの「99.9 -刑事専門弁護士-」の視聴率が第5話で、急激に落ちたとか話題にしている。それでも、最近のドラマの中では高い視聴率なので、話題にするのも白々しい感じである。急落の理由は、松本潤が公式ツイッターで、バレー・ボール放送のことを書いたのが反発を招いた……とか、あるいは、劇中の小ネタやだじゃれがあまりにうざいともある。
 確かに特に松本潤がやる小ネタや駄洒落は全く面白くも無い、しかし、アイドル・タレント松本潤の人気でもっているのなら、そんな小ネタや駄洒落は、そのドラマのポイントなのだろう。
 うざい小ネタや駄洒落そのものが、このドラマ、99.9の売り物なのだろう。つまらんドラマだと思う。というのは、「99.9 -刑事専門弁護士-」というタイトル自体がリアルな社会的事件を材料とし、99.9という数字が現実の刑事裁判のもつ意味を象徴させている筈である。
 その小ネタや駄洒落をきどってやるのは、いわば、歌舞伎の見栄のようなもので、リアリティを問題にする西洋演劇などの伝統からすれば、変なのだけど、そのように理解して製作者たちは遊んでいるんだなとも思う。しかし、それがうざく感じられるというのであるなら、その感想は健全だ。
 これほどひどくは無いが、しかける小ネタは福田靖脚本の「グッド・パートナー 無敵の弁護士」でも見かける。杉本哲太が扮するパートナー弁護士が、再婚相手との話題のために小話を作っているらしいが、古典落語のネタ話で使い古されたものである。劇の登場人物の多くが分かりそうな話である。たとえば、スズメを捕まえるためにみりんに漬けた米を食べさせるといった荒唐無稽な話であるが、落語では、相当大がかりな面白い話を作りあげるが、ドラマでは、その最初のアイデアだけを最後までもっていくのである。もちろんたいして面白い話でも無い。99.9ほどひどくは無いと言ったのは、その白ける話をアイドルの愛嬌話としてポイントに使っていないだけである。呆けかけのパートナー弁護士の話である。
 

 TBSの宣伝サイトに、プロデューサーが99.9の脚本オリジナルを「これまで舞台脚本・演出で培われてきた取材力とキャラクター作りに長けている宇田さんにお願いしました」と書いている。「キャラクター作りに長けている」宇田さんとあった。
 松本潤が扮する弁護士がちょっと、小バカにしたように、にやにやとしているのが気になったが、「キャラクター作りに長けている」宇田学の作品なのだろう。
 最初から気になっていることであるが、ドラマのタイトルが「99.9-刑事専門弁護士-」である。99.9というのが、ちょっとショッキングな数字としてアピールするとTBSスタッフは思ったのだろう。
 99.9という数字が、起訴された事件が有罪判決を受ける%だというのなら、有罪の判決を得られると考えられる事件しか起訴していないので、その結果が99.9%になっているのである。逆に言うと、0.1%でも、証拠が不十分であるのに起訴してしまっているということになる。戦前の政治家にも恐れられた検察官(後に首相になるが)平沼騏一郎ですら、起訴する場合、本当に証拠は十分であったか不安になったという。そういう場合、自白があると安心したという。
 このドラマは、そんなことにもほとんど無頓着に提案されたのではないかと思う。
 「無罪の証明率0.1%!」などと番宣で書いていたのではないか。ときどき言われることであるが、ときに有罪の立証も危ないときがある。かろうじて成り立っている場合がある。あの平沼騏一郎でも絶えず不十分ではなかったかと思ったというのである。合理的な疑いをさしはさむ余地がないほど立証しなければならないのである。それは、かろうじて成立しているとも言えるのである。
 しかし、最近、再審が始まった東住吉焼死事件は最高裁で無期懲役が確定してから、もう10年かかっている。
 そういう重い現実が並行して存在している主題をドラマにしているのだが、ところが、ドラマが、あまりにその現実と乖離していると、おふざけやダジャレが馬鹿らしくなってくるのではないか。
 実際に松本潤のファンにはどうなっているか知れないが、宇田学の脚本は、今回のシリーズでは、全くダメである。この失敗作を糧に勉強しなおすことはあるかも知れないが、どうころんでも、救いようが無い駄作である。
 まだ、続くようなので、その分、駄目押しを続ける。

 「刑事専門弁護士」というテーマを把握せずに、ドラマを作った。TBSのプロデューサーが宇田学を「これまで舞台脚本・演出で培われてきた取材力」と評している。どこに「培われてきた」「取材力」があるというのか。それとも、この貧相な主材力はプロデューサーのものか。
 「グッド・パートナー 無敵の弁護士」は、刑事事件ではない。したがって、ちゃらけた話も大目にみることができた。しかし、小ネタのつまらなさも、ダジャレも、大筋の話も宇田学よりは材料にもよるが救われる。
 しかし、福田靖といい宇田学も、期待されている脚本家だそうである。揃って全然駄目なのは、恐ろしい。つまり、日本のドラマが脚本レベルで駄目なようじゃないか。
 あれだけ高い人気を誇っていた水谷豊の代表作『相棒』の最近の視聴率の低下、実際に面白く無いという評判も、台本が面白く無いとも書いてあるものがある。
 観ていても、反町隆史が法務官僚では、白けてくる。そうかとおもえばやたらとちょける。更に白ける。もう止めた方がよいのかと思う。
 ドラマの脚本で日本の精神的状況の深刻さが露出したようにも思う。

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